第264章 やはり彼のだった!

田中紗枝は歯を食いしばり、悔しさに指先の力をいったん緩めたものの、瞳の奥にはなお怨毒が渦巻いていた。

田中千慧は口元に、気づかれぬほどの薄い冷笑を浮かべる。声をぐっと落とし、母娘だけに届く囁きで言った。

「焦ってどうするの」

「見ものはこれからよ。あの子がいい気でいられるのも、長くはないわ」

田中紗枝ははっと息をのむ。目にぱっと喜色が走り、同時に抑えきれない疑いが混じった。母の顔を見上げる。

けれど田中千慧はそれ以上、何も言わない。ただ冷えた目で前方を眺めた。

そのとき、福田祐衣はようやく我に返り、胸の奥がじんと温かくなるのを感じた。そっと身を屈める。

「お祖母ちゃん」

言葉...

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